東京駅の3番線と快速電車のグリーン車両

 先日、東京へ出張した時の話。
 東京へはしょっちゅう出張したり、過去にはのべ7年ほど住んでいたこともある。このため、すっかり気が緩んでいたのだと思う。新小岩に宿をとった後、何の下調べもしなかった。今時は、迷ったらスマホで調べられる。

 仕事が終って、初めての新小岩スマホジョルダンで調べたところ、東京駅乗り換え、総武線快速に乗って数駅。
 これほどトラップがあるとは思わなかった。

複数あった3番線

 まず、ジョルダンでは3番線と書かれていたので、3番線ホームへ行くと、京浜東北線のホームである。「総武線」の掲示がないか、もう一度、山手線から順番に見てまわるが、それらしい名前は見当たらない。「総武線が相乗りしているのかな?」と仮定して、3番線で少し待ってみた。が総武線快速が来る様子なし。「誰かに尋ねた方が良いな」と思い、まわりを見回すが駅員はいない。ホームに入ろうとする人と出ようとする人でごった返している。どの人に訊こうか迷っている間に疲れてしまった。だいたい、立っているだけで邪魔にされる。
 やっと、ゴミ収集している職員さんを見つけた。きいてみると、総武線は地下とのこと。言われた通り、横須賀・総武線のガイドに従い下へ下へで到着。横須賀・総武線のホームには、1番線から4番線があった。

 東京駅には少なくとも2組の1番線~4番線があるのだ。番号だけでは乗り場を識別できないということだ。センスの悪いソフトウェアを想起させる。
 新幹線に1番線から振りなおしていないのは何故だろう?山の手線と新幹線を間違える人はいない。運行主体も違う。
 新幹線が大きな番号になっている理由として、1つの駅の線には同じ番号を振らないと聞いたことがある。この情報が邪魔をしたのだ。あのルールは間違いだったのだろうか。横須賀・総武線は別の駅という扱いなのだろうか。確認していないが、もしかして京葉線も1番線から始まるのだろうか。
 納得行かないが従うしかない。

快速電車のグリーン車

 地下におりると、既に快速電車が来ていた。丁度みんなが乗り込むところ。行き先が千葉方面の駅で、快速電車であることを確認して乗り込んだ。2階建て車両である。まだあまり混んでおらずラッキーと思い、下の階に降りて座る。社内アナウンスでも、快速電車であること、錦糸町に行けることから恐らく間違い無いことがわかる。
 しかし、何かおかしい。通勤時間帯の東京駅で、車両がガラガラなのた。そのまま電車は発車した。その後の駅でも、ほとんど人が乗って来ず、不安になってきた。何か裏があるはずだが、それがわからない。薄暗い地下が続き、ガラガラの電車。

 そして種あかしの時が来る。検札の女性職員が来て、正確な文言は忘れたが、おそらく「座席券を拝見します。」とでも言ったと思うが、「乗車券を拝見します。」と聞こえた。ICOCAですと言いかけて、Suicaじゃないと反感買う?とか関係ないことを考えながら。JRの快速で検札?特急券???しばし事態が飲み込めず。

 そして、席が予約できる列車であると考えれば、全てに説明がつくことに気づく。しかし、とっさに何と答えて良いかわからない。検札の女性は説明を始めた、「この車両はグリーン車で、券が無いのであれば、お買いあげ頂く必要がある。」と言う。この、総武線快速には、グリーン車両があるのだ。冷静に考えれば、料金を払って、そのまま乗っても良かったと思うが、値段を知らないというのは恐怖である。「いくらですか?」との質問は、今から買いますという意味も持つ。

 とりあえず「まちがえました」と言うと、別の車両に行くように言われた。車両を移るために移動しようとすると、隣の車両とはつながっていないことを教えられた。

 次の駅で車両を乗り換えて、混んだ車両に乗り移った時、気のせいか照明も明るく、懐かしい仲間に囲まれたような居心地の良さがあった。

 年をとって、思い込みが激しくなっているのだろうか。快速電車は追加料金がいらないと思い込み、グリーン車の標(しるし)が目に入らなかった。

やはり少し不愉快だ

 翌朝、新小岩から総武線快速に乗車。もちろん今度はグリーン車には乗らない。

 グリーン車の車両は一番便利な中央付近にあり、一般車両は端に追いやられている。見たところ新小岩からグリーン車を利用する人は数名。千葉など遠方から移動する人が使うのだろう。それなら、なぜ特急にしないのか?ダイヤが組めないのか?スシ詰めの一般車両の解消を考える代わりに、グリーン車を追加するという発想。快適に移動したければ金を積め、と言わんばかりである。以前、東京に住んでいた時も、拝金主義的なところが好きになれなかった。これも実例の1つだ。

 毎日この列車を利用している人は、どのように感じているのだろう。この列車を利用するうちに、意識することなく拝金主義に染まって行くのかもしれない。